「今のところ、『破滅の創世』の配下達は追ってきていない。『破滅の創世』の配下達の手の内はまだ探れないのだろうが、今後、奏多様と此ノ里家の者を狙ってくるのは間違いないな」
司がこれまでの状況から推測を口にする。
「つーか、強奪で能力を奪えるのは厄介だな。ヒューゴの能力を奪われたら、大変なことになりそうだ」
「本当ね」
慧と観月は底の知れない『破滅の創世』の配下達の力に改めて畏怖した。
「まぁ、アルリットは忘却の王ヒュムノスと同じく、『破滅の創世』の幹部の一人だからな」
ひりつく緊張が慧の首元を駆け抜けて行く。
『破滅の創世』の配下の者達の中でもひときわ常軌を逸している存在が『幹部』と呼ばれる者だ。
アルリットもまた、『蒼天の王』として、蒼穹の銘を戴く幹部の一人である。
「とにかく、急ごう。ここで『破滅の創世』の配下達に襲われては元もこうもない」
事は急を要すると、司達『境界線機関』の者達は空港内を突き進む。
奏多達は基本的に戦闘機に搭乗することはできないため、近くの空港から飛行機で一族の上層部の本部に向かうことになる。
「今度こそ、本部に行かないとな」
奏多は眸に緊張の色を走らせる。
それを聞いた結愛は、ぱあっと表情を華やかせた。
「さささ、どうぞどうぞ、奏多くん。一族の上層部の本部までの案内は任せてください」
目標が定まったことで、結愛は熱い意気込みを見せた。
「あら、結愛は嬉しそうね」
元気溌剌な結愛の――妹の様子に、観月は満足げな表情を浮かべる。
幼い頃、世界のあらゆることに怯えていた妹は、今ではいつだって勢いで奏多のもとに走って行く。
躊躇うことだって知らない彼女はまっすぐに生きているのだ。
だからこそ、観月が心配になることは多い。
「でもね、結愛は一族の上層部の本部には行ったことはなかったわよね」
「ううぅ……厳しいです」
観月の問いかけに、結愛はしょんぼりと意気消沈する。
「奏多様、こちらです」
「結愛、行こう!」
「はい、奏多くん」
『境界線機関』のリーダーである司は、一族の上層部の本部の案内人に適していた。
『境界線機関』の者達も、奏多と結愛の身を護りながら空港へ突き進む。
やがて、奏多達の視界に大きなロビーが見えてきた。
「ふー、ようやくたどり着きました」
空港の到着ロビーで、結愛は喜色満面に大きく伸びをする。
この周辺の重要な飛行場としても設けられているようで、多くの人達が手荷物受取所に荷物を運ぶために行き来しているのが見受けられた。
司がこれまでの状況から推測を口にする。
「つーか、強奪で能力を奪えるのは厄介だな。ヒューゴの能力を奪われたら、大変なことになりそうだ」
「本当ね」
慧と観月は底の知れない『破滅の創世』の配下達の力に改めて畏怖した。
「まぁ、アルリットは忘却の王ヒュムノスと同じく、『破滅の創世』の幹部の一人だからな」
ひりつく緊張が慧の首元を駆け抜けて行く。
『破滅の創世』の配下の者達の中でもひときわ常軌を逸している存在が『幹部』と呼ばれる者だ。
アルリットもまた、『蒼天の王』として、蒼穹の銘を戴く幹部の一人である。
「とにかく、急ごう。ここで『破滅の創世』の配下達に襲われては元もこうもない」
事は急を要すると、司達『境界線機関』の者達は空港内を突き進む。
奏多達は基本的に戦闘機に搭乗することはできないため、近くの空港から飛行機で一族の上層部の本部に向かうことになる。
「今度こそ、本部に行かないとな」
奏多は眸に緊張の色を走らせる。
それを聞いた結愛は、ぱあっと表情を華やかせた。
「さささ、どうぞどうぞ、奏多くん。一族の上層部の本部までの案内は任せてください」
目標が定まったことで、結愛は熱い意気込みを見せた。
「あら、結愛は嬉しそうね」
元気溌剌な結愛の――妹の様子に、観月は満足げな表情を浮かべる。
幼い頃、世界のあらゆることに怯えていた妹は、今ではいつだって勢いで奏多のもとに走って行く。
躊躇うことだって知らない彼女はまっすぐに生きているのだ。
だからこそ、観月が心配になることは多い。
「でもね、結愛は一族の上層部の本部には行ったことはなかったわよね」
「ううぅ……厳しいです」
観月の問いかけに、結愛はしょんぼりと意気消沈する。
「奏多様、こちらです」
「結愛、行こう!」
「はい、奏多くん」
『境界線機関』のリーダーである司は、一族の上層部の本部の案内人に適していた。
『境界線機関』の者達も、奏多と結愛の身を護りながら空港へ突き進む。
やがて、奏多達の視界に大きなロビーが見えてきた。
「ふー、ようやくたどり着きました」
空港の到着ロビーで、結愛は喜色満面に大きく伸びをする。
この周辺の重要な飛行場としても設けられているようで、多くの人達が手荷物受取所に荷物を運ぶために行き来しているのが見受けられた。



