「奏多くんの言うとおり、この世界は希望が溢れています」

結愛が立ち向かうにはあまりにも強大な敵。それに全ての発端は強大な力を求めた一族の愚かな渇望だ。
相手の言い分が正しいことも理性ではきちんとわきまえている。しかし、それでも感情で納得できるかはまた別の話だった。

「だから、私はこの世界で奏多くんと一緒にずっとずっと生きていきたいです! 奏多くんと同じ光景を――明日に繋がる未来を見たいから!」

結愛が示したのは希望という名の確固たる意思。決して変わることのない願いだった。

「俺は絶対に『破滅の創世』の意志を変えてみせる!」
「はい。奏多くんなら、絶対にできますよ!」

結愛が奏多の手を強く握った。奏多もそれを握り返す。
同じくらいの強さで。
きっと、同じくらいの強い気持ちで。
その手で、大好きな人の存在を確かめ合った。

「奏多くんは私の世界を変えた人だから」

結愛は、奏多の顔をその眸に焼きつける。
奏多の優しい言葉が、結愛と呼んだその声が、目が合えば笑ったその笑顔が、今日は見ることができる。
神と人間は根源的に繋がらない。
不可視の関係性。
それでも――

「奏多くん……。私……奏多くんの演奏から、私達と同じ人の心を感じるんです」

今までの出来事を通じて、結愛の中に生じた躊躇い。
時を忘れ、我を忘れ、全てを省みずに一心に突き進む。
それは人も神も同じなのかもしれないと――。
だからずっと、奏多の傍に居させてほしい。どうかこの命に奇跡の光を。

「『破滅の創世』の配下さん達はそれを否定するかもしれないけど……。ダメだったって言われても、私はずっと奏多くんの傍にいたいです」

奏多と歩む未来が見たいから。その平穏が欲しい。
それがいつになるか分からなくても、遠い遠い先の話であっても。
それをよすがに生きていくことが出来るから。
だから信じたい。
奏多と結愛が出会ったのは悲劇ではなく、奇跡の始まりなのだと。
だが、奏多達が奮戦しつつも、状況は一進一退だ。

「結愛、俺達全員の力を一つにして対抗しよう!」
「はい、奏多くん!」

幾度も生じる猛撃。
奏多と結愛は会話を交わすことで、感謝の念と次なる連携を察し合う。

「絶対に負けませんよ! 奏多くんは……『破滅の創世』様は絶対に護ってみせます!」
「結愛、敵に近づきすぎないようにね」

観月は警告しつつも、ありったけの力をカードへと籠めた。

「結愛、カードの力を同時に放つわよ!」
「はい、お姉ちゃん、ナイスです! グッジョブです!」

観月の提案に、結愛は表情を喜色に染める。
導くのは起死回生の一手。
観月と結愛は並び立つと、カードを操り、約定を導き出す。