「次鋒戦開始っ」
ラビの声と共に、
クロハが刃の無い柄を取り出す。
ツキヨが懐の鞘に収めてある刀に手をあてる。
「小鳥丸……抜刀」
クロハの持つ柄から黒い刃が現れる。
「咲けっ……初桜ッ」
ツキヨの懐の鞘から桃色の刀が抜かれる。
イザヨイはヤンキー座りのまま……その様子を眺め……
「閻魔……抜刀」
そう言葉にすると……
イザヨイの目の前に稲妻が落ちる。
「なっ!?」
クロハも……ツキヨも、目を見開いて驚いている。
イザヨイの身丈以上もある大きな太刀が稲妻の落ちた場所に突き刺さっている。
刃の先からは灼熱の炎が燃えあがっている。
「刀技……光芒《こうぼう》」
黒い刀風がイザヨイに向かう。
「散れっ徒桜《あだざくら》ッ」
天に翳す、ツキヨの初桜からピンクの光が落ち……刀風に変わると、
同じようにイザヨイ目掛け飛んでいく。
だるそうに……イザヨイは構えることもなく……
「裁け……終炎……」
リングに突き刺さる、太刀からクロハとツキヨに向かい火の波が二人を襲う……火の波に二人の放った刀風はかきけされ、クロハとツキヨもその攻撃は素早く避ける。
「刀技……牙閃《がせん》」
すぐに態勢を整えると、地を蹴り漆黒の刀を突き出し突進する。
「舞い散れ、残桜《ざんおう》ッ」
残像を残すように同じようにイザヨイに突進する……
イザヨイは身丈以上の太刀を引き抜くと、刀を横に構え……
二人の刀先を受け止める。
バックステップでクロハとツキヨが後ろに飛び態勢を直す。
クロハが斜に構える……
「修羅は使うな」
そうツキヨがクロハを止める。
「出し惜しみ……してる場合じゃない」
そうクロハが返すが……
「相手の底がまだ見えていない……後が無くなるぞ」
そうツキヨは返し、クロハはそれに従う。
「刀技……牙閃《がせん》」
再びクロハはイザヨイを目掛け突進する。
「飛び散れッ……飛花《ひか》」
徒桜《あだざくら》ほどの火力は無いが数多の刀風を作り出し、数でイザヨイを襲う。
「っ!」
クロハは一度地に足をつけ、牙閃《がせん》をキャンセルすると、飛花《ひか》の飛ぶ反対に周り込む。
「刀技……牙閃《がせん》」
再び再度から挟み込むように攻撃をしかける。
「裁け……黒縄《こくじょう》」
瞬間、イザヨイの持つ閻魔から黒い触手のようなものが伸びる。
クロハとツキヨの身体にまとわりつくと動きを封じられる。
飛花《ひか》による刀風も閻魔により防がれる。
「くっ……あつ」
まとわりついた、黒い縄から青黒い炎が燃え上がる。
逃れるように、二人が必死で縄を振り払う。
「な……どうなって……」
まるで幻でも見ていたように……黒い縄は消えて……
特に身体も別状はない。
「……百鬼夜行《ひゃっきやこう》」
周囲が闇に包まれる。
地面からツキヨの影が多数産まれる。
「桜花爛漫《おうからんまん》」
続けて満開の桜の木が咲き並び……
「裁け……針地獄」
瞬間……リングから数多の刀身が付きあげるように現れる。
ツキヨとクロハは瞬時にそれを回避するが……
黒い影と満開の桜はずたずたに切り裂かれ、
ツキヨの作り出した闇の世界が晴れていく。
「地獄で裁かれるほど、悪行を重ねたつもりはないんだけどね……」
そうツキヨが……その技の特性を見ながら言う。
「あんたがお利口かどうかなんて関係ないさ……閻魔《あたし》にとって、人は産まれた時点で平等に裁くべき対象だっ」
「裁け……大焦熱《だいしょうねつ》ッ」
太刀から灼熱の炎がもえあがる……
太刀を横に振るう。
巨大な刀身が一度に二人の身体を捕らえる。
魔力の特性……斬撃もこの世界ではダメージは衝撃に変換される。
それでも、二人の身体は場外寸前にまで吹き飛ばされる。
「……まだ立てるか」
少し感心するようにイザヨイが二人を見る。
「負けない……レスに撫でられる……負けじゃなく……勝ったとき……そう決めた」
そうクロハは立ち上がり……
「……2年で伊達に副会長をやっている訳じゃないんで……」
そうツキヨもリングに突き刺した刀で身体を支えるように立ち上がる。
「頃合だ……クロハ」
そうツキヨがクロハに何かを支持する。
「……修羅気迫ッ!」
ズンっと周囲の重力が増したように、クロハから凄まじい圧と、
黒いオーラを身にまとう。
「百鬼夜行……」
周囲が闇に包まれる、再び黒いツキヨの影が現れる。
「……裁け、針地獄」
そうイザヨイが再び太刀を地に突き刺す。
「刀技……地ずり黒月ッ」
地を這う黒い刀風が現れた刀の針を破壊するようにイザヨイに向かう。
「刀技……牙閃《がせん》」
刀風が作り出した道を一気に駆け抜ける。
「……桜花爛漫」
ツキヨは……つきあげてきた刀身を避けることもせず、あえてすべて受け止め……
「……これまでも、地獄など……何度も見てきたよ」
そう言い放ち……
「……舞い散れ……血桜ッ!!」
黒い影はイザヨイの放った針地獄によって消されたが……
残った自身で、できる限り散る桜の葉を刃に変え……
イザヨイ目掛け放った。
刃をまともに受け、クロハの牙閃《がせん》をまともに受ける。
「裁け……黒縄《こくじょう》」
その技を自らの身体に放つ。
地面に突き刺さったままの太刀から黒い触手が伸び、場外まで吹き飛ばされる勢いの自分の身体をリングにとどめる。
「……同様にこっちも、たくさんの奴を地獄送りにしてきたんだ……てめぇらみたいなのを地獄送りにする……それが、あたしは快感なんだっ……考えただけで昇天しそうだっ!」
そう叫び、太刀を抜き取る。
「裁け……大焦熱《だいしょうねつ》ッ」
そう叫び……太刀から灼熱の炎が燃え上がる。
「天国は……あなたに似合わない」
そうクロハは告げる。
「天翔《てんしょう》っ」
間合いに入ったクロハが刀を振り上げ、イザヨイの身体を上空に浮かせる……
「月下《げっか》っ」
合わせて上空に飛んだ、ツキヨがその身体を初桜で叩き込むと……
イザヨイの身体が凄まじい勢いで地に落下する。
「……なるほど……」
ゆっくりと……イザヨイは立ち上がり……
構えるクロハをツキヨは右手で制御する……
「これが……これまでのあたしへの罰って奴か」
そう言うと……バタンと後ろに再び倒れた。
ラビのカウントが10から0をカウントし終える。
「勝者……ツキヨ選手、クロハ選手です」
見事、二人が勝利する。
が……これって、もう決闘とやらの勝負は終わったのでは……
「大将戦は2ポイントとする……」
そう急に教師が言いだす。
「はっ……?」
さすがにそのルール変更に異議を唱える。
「それ、3試合にした意味ないだろっ」
そう俺は教師に言うが……
「引き分けの場合は延長戦……各チーム自由に2名を選んでチームを組んで闘ってもらう」
そう教師が言う……
そこまでして、俺たちを負けさせたいのか……
先ほど、イザヨイがへし折ったくじに誰の名が刻んであったかは知らないが……
すでにウルハ=マネードルとナイツ=マッドガイアの2名……
そして、こちらも残ったのは2名……
俺と……クリア=スノー。
「端から負けてやるつもりは無かったけどな」
俺はそうクリアに微笑みかける。
「さて……いよいよ、ナイツと小僧の対戦か」
そうアストリアが楽しそうに笑う。
「お嬢とのコンビ……さて、小僧、どう闘う?」
となりでいつの間にかライトは目を開いている。
「明らかに攻撃力不足……さて、レス、君はこの状況をどう闘う」
そうライトの瞳はレスの姿を追う。
「それでは、大将戦をはじめますっ」
そうラビがリングにあがるよう俺とクリアに告げる。
「レス……さん」
心配そうに俺を見上げるクリアに……
「クリア……俺がお前を英雄にしてやる」
マネードル家を……その偉大な護衛すらを打ち破った英雄に……
それが……俺がこの世界に来た理由だ。
それが、この世界で俺の出来る事だ。
「守ってやる……俺が……」
そう俺とクリアはリングにあがった。
ラビの声と共に、
クロハが刃の無い柄を取り出す。
ツキヨが懐の鞘に収めてある刀に手をあてる。
「小鳥丸……抜刀」
クロハの持つ柄から黒い刃が現れる。
「咲けっ……初桜ッ」
ツキヨの懐の鞘から桃色の刀が抜かれる。
イザヨイはヤンキー座りのまま……その様子を眺め……
「閻魔……抜刀」
そう言葉にすると……
イザヨイの目の前に稲妻が落ちる。
「なっ!?」
クロハも……ツキヨも、目を見開いて驚いている。
イザヨイの身丈以上もある大きな太刀が稲妻の落ちた場所に突き刺さっている。
刃の先からは灼熱の炎が燃えあがっている。
「刀技……光芒《こうぼう》」
黒い刀風がイザヨイに向かう。
「散れっ徒桜《あだざくら》ッ」
天に翳す、ツキヨの初桜からピンクの光が落ち……刀風に変わると、
同じようにイザヨイ目掛け飛んでいく。
だるそうに……イザヨイは構えることもなく……
「裁け……終炎……」
リングに突き刺さる、太刀からクロハとツキヨに向かい火の波が二人を襲う……火の波に二人の放った刀風はかきけされ、クロハとツキヨもその攻撃は素早く避ける。
「刀技……牙閃《がせん》」
すぐに態勢を整えると、地を蹴り漆黒の刀を突き出し突進する。
「舞い散れ、残桜《ざんおう》ッ」
残像を残すように同じようにイザヨイに突進する……
イザヨイは身丈以上の太刀を引き抜くと、刀を横に構え……
二人の刀先を受け止める。
バックステップでクロハとツキヨが後ろに飛び態勢を直す。
クロハが斜に構える……
「修羅は使うな」
そうツキヨがクロハを止める。
「出し惜しみ……してる場合じゃない」
そうクロハが返すが……
「相手の底がまだ見えていない……後が無くなるぞ」
そうツキヨは返し、クロハはそれに従う。
「刀技……牙閃《がせん》」
再びクロハはイザヨイを目掛け突進する。
「飛び散れッ……飛花《ひか》」
徒桜《あだざくら》ほどの火力は無いが数多の刀風を作り出し、数でイザヨイを襲う。
「っ!」
クロハは一度地に足をつけ、牙閃《がせん》をキャンセルすると、飛花《ひか》の飛ぶ反対に周り込む。
「刀技……牙閃《がせん》」
再び再度から挟み込むように攻撃をしかける。
「裁け……黒縄《こくじょう》」
瞬間、イザヨイの持つ閻魔から黒い触手のようなものが伸びる。
クロハとツキヨの身体にまとわりつくと動きを封じられる。
飛花《ひか》による刀風も閻魔により防がれる。
「くっ……あつ」
まとわりついた、黒い縄から青黒い炎が燃え上がる。
逃れるように、二人が必死で縄を振り払う。
「な……どうなって……」
まるで幻でも見ていたように……黒い縄は消えて……
特に身体も別状はない。
「……百鬼夜行《ひゃっきやこう》」
周囲が闇に包まれる。
地面からツキヨの影が多数産まれる。
「桜花爛漫《おうからんまん》」
続けて満開の桜の木が咲き並び……
「裁け……針地獄」
瞬間……リングから数多の刀身が付きあげるように現れる。
ツキヨとクロハは瞬時にそれを回避するが……
黒い影と満開の桜はずたずたに切り裂かれ、
ツキヨの作り出した闇の世界が晴れていく。
「地獄で裁かれるほど、悪行を重ねたつもりはないんだけどね……」
そうツキヨが……その技の特性を見ながら言う。
「あんたがお利口かどうかなんて関係ないさ……閻魔《あたし》にとって、人は産まれた時点で平等に裁くべき対象だっ」
「裁け……大焦熱《だいしょうねつ》ッ」
太刀から灼熱の炎がもえあがる……
太刀を横に振るう。
巨大な刀身が一度に二人の身体を捕らえる。
魔力の特性……斬撃もこの世界ではダメージは衝撃に変換される。
それでも、二人の身体は場外寸前にまで吹き飛ばされる。
「……まだ立てるか」
少し感心するようにイザヨイが二人を見る。
「負けない……レスに撫でられる……負けじゃなく……勝ったとき……そう決めた」
そうクロハは立ち上がり……
「……2年で伊達に副会長をやっている訳じゃないんで……」
そうツキヨもリングに突き刺した刀で身体を支えるように立ち上がる。
「頃合だ……クロハ」
そうツキヨがクロハに何かを支持する。
「……修羅気迫ッ!」
ズンっと周囲の重力が増したように、クロハから凄まじい圧と、
黒いオーラを身にまとう。
「百鬼夜行……」
周囲が闇に包まれる、再び黒いツキヨの影が現れる。
「……裁け、針地獄」
そうイザヨイが再び太刀を地に突き刺す。
「刀技……地ずり黒月ッ」
地を這う黒い刀風が現れた刀の針を破壊するようにイザヨイに向かう。
「刀技……牙閃《がせん》」
刀風が作り出した道を一気に駆け抜ける。
「……桜花爛漫」
ツキヨは……つきあげてきた刀身を避けることもせず、あえてすべて受け止め……
「……これまでも、地獄など……何度も見てきたよ」
そう言い放ち……
「……舞い散れ……血桜ッ!!」
黒い影はイザヨイの放った針地獄によって消されたが……
残った自身で、できる限り散る桜の葉を刃に変え……
イザヨイ目掛け放った。
刃をまともに受け、クロハの牙閃《がせん》をまともに受ける。
「裁け……黒縄《こくじょう》」
その技を自らの身体に放つ。
地面に突き刺さったままの太刀から黒い触手が伸び、場外まで吹き飛ばされる勢いの自分の身体をリングにとどめる。
「……同様にこっちも、たくさんの奴を地獄送りにしてきたんだ……てめぇらみたいなのを地獄送りにする……それが、あたしは快感なんだっ……考えただけで昇天しそうだっ!」
そう叫び、太刀を抜き取る。
「裁け……大焦熱《だいしょうねつ》ッ」
そう叫び……太刀から灼熱の炎が燃え上がる。
「天国は……あなたに似合わない」
そうクロハは告げる。
「天翔《てんしょう》っ」
間合いに入ったクロハが刀を振り上げ、イザヨイの身体を上空に浮かせる……
「月下《げっか》っ」
合わせて上空に飛んだ、ツキヨがその身体を初桜で叩き込むと……
イザヨイの身体が凄まじい勢いで地に落下する。
「……なるほど……」
ゆっくりと……イザヨイは立ち上がり……
構えるクロハをツキヨは右手で制御する……
「これが……これまでのあたしへの罰って奴か」
そう言うと……バタンと後ろに再び倒れた。
ラビのカウントが10から0をカウントし終える。
「勝者……ツキヨ選手、クロハ選手です」
見事、二人が勝利する。
が……これって、もう決闘とやらの勝負は終わったのでは……
「大将戦は2ポイントとする……」
そう急に教師が言いだす。
「はっ……?」
さすがにそのルール変更に異議を唱える。
「それ、3試合にした意味ないだろっ」
そう俺は教師に言うが……
「引き分けの場合は延長戦……各チーム自由に2名を選んでチームを組んで闘ってもらう」
そう教師が言う……
そこまでして、俺たちを負けさせたいのか……
先ほど、イザヨイがへし折ったくじに誰の名が刻んであったかは知らないが……
すでにウルハ=マネードルとナイツ=マッドガイアの2名……
そして、こちらも残ったのは2名……
俺と……クリア=スノー。
「端から負けてやるつもりは無かったけどな」
俺はそうクリアに微笑みかける。
「さて……いよいよ、ナイツと小僧の対戦か」
そうアストリアが楽しそうに笑う。
「お嬢とのコンビ……さて、小僧、どう闘う?」
となりでいつの間にかライトは目を開いている。
「明らかに攻撃力不足……さて、レス、君はこの状況をどう闘う」
そうライトの瞳はレスの姿を追う。
「それでは、大将戦をはじめますっ」
そうラビがリングにあがるよう俺とクリアに告げる。
「レス……さん」
心配そうに俺を見上げるクリアに……
「クリア……俺がお前を英雄にしてやる」
マネードル家を……その偉大な護衛すらを打ち破った英雄に……
それが……俺がこの世界に来た理由だ。
それが、この世界で俺の出来る事だ。
「守ってやる……俺が……」
そう俺とクリアはリングにあがった。