目を閉じると、触れた仔猫から小さな心音が聞こえてきた。なんだか心地が良くて、そのまま眠れそうだと身体から力を抜いた。

 少しだけ眠ってしまおう、それから仕事に戻るのだ。
 そう考えながら、サードは目を閉じて――

 不意に、体内の温度が急速に下がるような違和感を覚えた。

 不快感が、胃から食道を駆け上がって肺がギシリと軋んだ。慌てて起き上がった拍子に、仔猫が転がり落ちてしまったのには気付いたものの、片手で身体を支えつつ、もう一方の手で口を塞いで込み上げる咳の音を抑え込むので精いっぱいだった。

 仔猫たちが驚いたように「にゃにゃーッ」「にょぉおおお?!」と鳴きながら、その場を走り回った。

 サードはその騒ぐ声も半ば拾えないほど、自分の身体の内側で、内臓組織が壊れ潰れていく音を聞いていた。悪魔細胞に馴染んでくれた強靭な骨だけでも、害がないのは救いである。

 とはいえ、やはり忌々しい苦痛であることに変わりはない。半悪魔体であるが故の『発作』の波が去ってくれるのを、ただじっと待つしかなかった。