「にょ?」
「この世界が、好きか?」
尋ねてみると、灰色の仔猫が分からないというように小首を傾げた。金色の仔猫が胸元まで上がってきて、サードの顔を覗き込んでくる。
「俺さ。去年くらいまでずっと、空っていうのがあって、そこが青や黒や燃えるように赤くなるなんて知らなかったんだ」
猫相手に何やってんだろうなと思いながら、サードは気ままな独り言を口にした。この学園では、気を休められるところなんてちっともなかったから、こうして風紀の仕事を休憩して、外に寝転がっているのが心地良かった。
「草や木が生えていて、流れる川があって。朝になれば太陽が昇って夜には星が瞬いて……多分、眩しいこの世界が俺も好きだ、と思う」
初めて目にした地上は、見たこともない色に溢れ、眩しいぐらいに鮮やかな世界だった。サードはそれを思い返しながら、灰色の仔猫を額へ抱き寄せた。
「『猫』が、こんなに小さくて柔らかくて、暖かいなんて知らなかったなぁ」
「この世界が、好きか?」
尋ねてみると、灰色の仔猫が分からないというように小首を傾げた。金色の仔猫が胸元まで上がってきて、サードの顔を覗き込んでくる。
「俺さ。去年くらいまでずっと、空っていうのがあって、そこが青や黒や燃えるように赤くなるなんて知らなかったんだ」
猫相手に何やってんだろうなと思いながら、サードは気ままな独り言を口にした。この学園では、気を休められるところなんてちっともなかったから、こうして風紀の仕事を休憩して、外に寝転がっているのが心地良かった。
「草や木が生えていて、流れる川があって。朝になれば太陽が昇って夜には星が瞬いて……多分、眩しいこの世界が俺も好きだ、と思う」
初めて目にした地上は、見たこともない色に溢れ、眩しいぐらいに鮮やかな世界だった。サードはそれを思い返しながら、灰色の仔猫を額へ抱き寄せた。
「『猫』が、こんなに小さくて柔らかくて、暖かいなんて知らなかったなぁ」