そのまま抱きしめてみると、金色の仔猫は全然嫌がらなかった。毛が長いせいか、とてもふわふわとした柔らかさがあって、膝の上に降ろすと大人しく座ってくれるほど人慣れしていた。

 灰色の仔猫は、怯えつつもサードの隣に腰を落ち着けた。まるで会話をするように「みょ~……」と困ったように鳴き、サードの膝の上で金色の仔猫が「にゃ、にゃにゃにゃ」とどこか得意げに応える。

「やっぱり変わってんなぁ。それに、猫って『にゃー』って鳴くって教わったけど――」

 そう疑問を口にしたサードは、唐突に思い出して「あッ」と声を上げた。「すっかり忘れてた」と呟いたら、金色の仔猫が足をつついて服を引っ張ってきた。

「にゃにゃ?」
「ん? なんだ、俺に質問してんの? 猫が『にゃー』以外の鳴き声があるのか、訊き忘れたなぁと思って」

 膝の上にいる金色の仔猫の頭を撫でながら、サードはそんな独り言をして首を捻った。仔猫同士が、顔を見合わせる。