しばらく警備を続けた後、健診を受けていた一学年、二学年の半数が教室に戻ったタイミングで、交代制で風紀部員の受診が始まった。

 サードは見回りや健診といった用件の詳細は語らないまま、風紀部員の一人に自分の持ち場を任せて、一旦その場を離れた。

 人のいない廊下を選んで歩いていると、白衣姿の男が『用意が出来てる』ことを知らせてきた。サードは一つ頷くと、表向きは使用予定のない第二会議室に足を運んだ。

 そこには、複数の白衣の男たちがいた。こちらを見た途端、彼らは機嫌を取るように揃って張り付いた作り笑いを浮かべてきた。

「ようこそ、『サード』。さぁ、検査の時間だよ」

 室内の周囲は、六人の屈強な衛兵で固められて物々しい雰囲気があった。

 サードは彼らの位置と数を把握すると、自分は『人間にとって敵』ではないと伝えるように、――研究者たちに向かって、少年らしい陽気な笑顔を返して「はい」と従順に答えた。