「動かせる風紀の人数が少ないせいで、生徒会にも仕事の一部が回って来ている。俺たちは風紀と違って兵士じゃない。風紀委員会にはしっかり働いてもらわないと困ると、レオンはそう言いたいのだろう」

 ロイにもっともな部分を指摘され、サードは返す言葉に困った。

 聖アリスト教会学園は、国内でも選ばれた少年たちのみが入学出来る。とはいえ一学年でも百人以上の生徒が在籍していて、それに対して風紀委員会は、一学年から三学年合わせて、現在は総勢二十八人しかいないのが現状だった。

 風紀委員会は委員長、副委員長の二つのみが役職として設けられ、残りの二十六人が活動部員だ。生徒会とは違い、身体を張った風紀活動がメインとなるため、広大な校舎敷地内の見回りにはぎりぎりの人数だった。

 今のところ、通常の風紀委員の数倍は早く動くことが出来るサードのおかげで、普段の見回り業務をどうにか間に合わせている状況だ。

 つまり、風紀委員会は、深刻な人員不足の真っただ中であった。徹底して動き回り、サポートし、その後に書類作業を済ませる……。

 いつもの流れを思い起こしたサードは、やっぱり損な役割だと『風紀委員長』の役を放棄したくなった。風紀委員長排除派を使って、どうにかこの地位を失うことは出来ないだろうか、と本気で考えそうになる。