ロイに並んでいた細身の長身の男子生徒が、冷ややかな眼差しをこちらに向けながら、銀縁眼鏡を中指で押し上げた。

 彼は生徒会副会長であり、国の宰相を父に持つ三学年生のレオンだ。『皇帝』の影となり剣ともなる、聖軍事機関諜報部の次期参謀候補に内定している少年で、辛辣な敬語口調が板についた女性的な美貌を持つ男である。

 男性にしては長めの、黒の色素が強いダーク・ブラウンの髪。凍える印象を持ったアイス・ブルーの切れ長の瞳。制服は彼の性格を象徴するように、いつもパリッとしおり、高圧的に睨みつけるような表情が普段のスタイルだ。

 貴族優遇思想でもあるのか、いつも嫌味ったらしく上から物を言ってくる男でもあった。生徒会副会長という役職よりも高い『元戦闘用奴隷出身の風紀委員長』を、嫌っている節もあるのではないだろうかとサードは推測している。

 そして何より、レオンは『次期皇帝』を誰よりも神聖視している生徒でもあった。だから余計に、険悪の仲で言い合っているサードを嫌っている印象もあった。