サードは反射的に攻撃体制に入ってしまうので、気配もなく唐突に距離を詰める彼の行為には困ってもいた。本気でやめて欲しいことの一つで、以前から注意してはいるのだが、しばらく時間を置くとそれを忘れたように同じことが繰り返されるのだ。
サードは、立ち上がったユーリスを半眼で睨み付け「で?」と訊いた。
「何の用だ、会計」
「どこに行くのかなぁと思って。リュー君が確認事項で慌てて呼び留めたってことは、そのまま風紀委員室に戻る予定じゃないんでしょう?」
「お前に関係ないだろうが」
「え~、将来同じ場所で働く仲じゃん」
軍は基本的に、国王直属の防衛機関と、攻撃を主とした聖軍事機関の二つがある。ユーリスは早い段階から、戦闘魔術師としての頭角を表しており、現時点で『次期皇帝』直属の戦闘魔術師団長への推薦が決まっていた。
どいつもこいつも、『将来』『未来』だの言いやがって……
苛々したサードは、覚えた怒りを抑え込むべく目頭を揉み解した。口車に乗るのは得策ではない。人当たりのいいユーリスをじろりと睨み上げると、まともな質問だけを拾い上げてこう答えた。
サードは、立ち上がったユーリスを半眼で睨み付け「で?」と訊いた。
「何の用だ、会計」
「どこに行くのかなぁと思って。リュー君が確認事項で慌てて呼び留めたってことは、そのまま風紀委員室に戻る予定じゃないんでしょう?」
「お前に関係ないだろうが」
「え~、将来同じ場所で働く仲じゃん」
軍は基本的に、国王直属の防衛機関と、攻撃を主とした聖軍事機関の二つがある。ユーリスは早い段階から、戦闘魔術師としての頭角を表しており、現時点で『次期皇帝』直属の戦闘魔術師団長への推薦が決まっていた。
どいつもこいつも、『将来』『未来』だの言いやがって……
苛々したサードは、覚えた怒りを抑え込むべく目頭を揉み解した。口車に乗るのは得策ではない。人当たりのいいユーリスをじろりと睨み上げると、まともな質問だけを拾い上げてこう答えた。