「なに馬鹿のように考え込んでいるのですか、冗談ですよ。見付けやすいですから、目立つ銀髪で何よりです」
「冗談? つまりコレ、白髪じゃないってことでいいんだよな?」
「ご自分で白髪じゃないと言い張っておいて、なぜここにきて不安になっているのですか」

 その会話を見ていたユーリスとエミルとソーマが、互いに目配せして小さく肩をすくめた。実に阿呆らしいと言わんばかりに片手を振ったロイが、歩き出してすぐ、「そういえば」と立ち止まってサードを振り返った。

「お前が寝込んでいる間に『合同茶会』が承認された。水曜日と金曜日の昼の業務休憩、風紀委員会と生徒会員は第二会議室に集合だから、忘れるなよ」
「は? そんな決定の知らせとか、来てなかったけど――」
「さっき理事長の許可をもらったばかりだからな」

 ロイが、あっさりと言って食券の発行ボタンを押す。

 つまり、またしても生徒会が勝手に動いて提案書を出し、理事長に許可を取ったらしい。そう察した途端、サードはピキリと青筋を立てて思わず叫んだ。

「だーかーらーッ、勝手に許可取ってんじゃねぇよ! まず提出する前に、風紀委員会も通せよな!?」

 そんなサードの主張を無視するように、ロイ達は勝手に昼食メニューの注文を行っていった。その様子を見ていた多くの生徒たちが、「なんだか『最強風紀委員長』も普段通りだね」と言葉を交わしたのだった。



               了