二人が痛みの波が去るまでじっとしている中、ロイがカウンターの上にある定食を横目に見てニヤリと笑った。

「それ、お前のか」
「そうだよ。悪ぃか」
「いいんじゃないか? ソーマは毎食それを食べている常連だ」

 答えたロイが、僅かに肩をすくめる仕草をした。

 サードが疑って目を向けると、ソーマが頬を指先でかいてはにかんだ。大量の食事を胃に収めるという印象もなかったから、ちょっと意外に思った。

「にしても、相変わらず見事な白髪だな、風紀委員長」
「自前の銀髪だっつってんだろ、生徒会長」

 腹から手を離したサードは、涼しげなロイの横顔を睨みつけた。すると、彼のそばにいたレオンが、細い銀縁眼鏡を押し上げてこう言った。

「後ろがつかえますので、喧嘩はそこまででお願いします。そもそも、風紀委員長の白髪事情は、今に始まった事でもありません」
「おい、副会長。お前まで言うか。これは白髪じゃねぇっつってんだろ」

 言い切った直後、ふと、金髪が脱色したら銀髪になるのだろうか……という想像が脳裏を過ぎった。とすれば、これは白髪であると認めるべき、なのか……?

 それはそれで嫌だな、とサードはじっくり真剣に考える。その思考が露骨に顔に出ている彼を見て、レオンが思いっきり眉を顰めた。