スミラギに引きずられていったトム・サリファンを、つい目で追いかけたロイ達が、扉を閉めてベッドへと向かった。全員が何かしら、頬や首、制服から覗いた手などに絆創膏や包帯を巻いている状態だった。

 サードは色々と聞かされたばかりで、魔術的な契約をされたから生きている、という状況についても、まだ頭の中で状況整理が追い付かないでいた。

「おい、会計。その魔術回路ってのは『主従契約』とかいうやつのか?」
「うん、獣人にやるものを、半悪魔用に改良してみたんだ。初めての試みだから、しばらくは様子を見ながら調整していく必要があるかもしれない。まっ、こうして『皇帝』のもとであれば、生きられると分かって良かったよ」

 そう言って、ユーリスがにっこりと笑った。

 不穏な言葉が聞こえたような気がして、サードは込み上げる嫌な予感に顔を引き攣らせた。てっきり『主従契約』の相手は、戦闘魔術師のユーリス辺りだろうと思っていたからだ。

「…………おい、一つ聞いていいか?」
「何?」
「これ、誰と魔術回路で繋がってんの」

 きっぱり尋ねてやろうと思っていたのに、推測された人物を思い浮かべたら、なんとも『風紀委員長』らしくない情けない声が出た。