「………………すっげぇ腹が減って、『空腹』なんだよ」
「そうかっ。じゃあ私が作――」

 トム・サリファンがそう切り出した時、多くの足音と共に扉が勢い良く開かれた。

 今度はなんだとそちらに目を向けたサードは、そこに見知った顔ぶれを見付けて「マジかよ」と項垂れた。正直、弱っている今の状態では会いたくなかった。

「サード君、目が覚めて良かったよ! 俺が作った新しいタイプの魔術回路、半分以上オリジナルで構築したんだけど、従来より性能も安定感もバッチリでさ。俺って天才すぎるっていうか、すごくない?」

 ユーリスが、共に訪ねてきた生徒会メンバーの中から、真っ先に主張してそう言ってきた。先に入っていた二人の大人に気付くと、ようやく一旦口を閉じる。

 視線を返したスミラギが、「あまり居座らないように」と少年組に忠告し、いまだ嫌がっているトム・サリファンを引っ張って先に部屋を出ていった。