「公表ねぇ……。そういえば、次の風紀委員長は誰になったんだ?」
「あなたは馬鹿ですか? なぜ理事長が先に、二回に分けて『説明』を行い、国を牽制したと思っているのですか」

 だから、それが何、とサードは怪訝な表情を返す。

 やや苛々したスミラギが、少し低い声を出して「よくお聞きなさい」と言って腕を組んだ。

「『サード・サリファン』は、悪魔を確実に仕留めるため、実験と訓練によって仕上げられた半悪魔体である、と理事長は生徒たちに真っ先暴露しました。――寿命に関しては伏せ、『最後は国から隠蔽のため自害するような魔術を埋め込まれて学園に送られていた』、という設定になっていますが」
「は?」

 国家機密であった半悪魔について、『学園の全員に』ほとんどを公表したのだ、とサードは遅れて理解した。しばし、呆気に取られて言葉も出て来ない。

「その説明のもと、理事長は生徒たちに一晩考えるよう促しました。その後日に、国から派遣された証人官を前に、あなたの在籍に関してどうするべきか話し合いが行われました。国側からも代表者が寄越され、退学になったとしても『サード・サリファン』は、国がきちんと引き取り、その『戦闘能力の活かされる相応しい場』に送る予定でいる、と、生徒たちに取ってつけたような説明を行ったわけです」