チクショー余計に頭が痛い、と口の中でぶつぶつ言うサードに構わず、スミラギは自分のペースで勝手に話を続けた。

「どうしてそのような魔術契約をしようと至ったか、について詳細を説明しますと、私は悪魔も魔物と同じ生物に分類されると考えました。そして、あなた方(がた)が短命であるのは、遺伝子レベルで細胞同士が拒絶反応を起こしているというより、悪魔細胞が栄養を補給するために、残されている人間部分から『エネルギーを摂取しているせいではないか』という推測を立てたのです」
「エネルギーって?」
「悪魔は人間の魂を食べ、魔物は人間の肉を糧とします。しかし半悪魔は、本能的に求める悪魔の血肉を口にしようとも延命出来ません。事実、あなた以外の半悪魔体に関しては、培養された悪魔の血の投与が始まって早々に、身体が壊れて死んでいます」

 サードは、よく分からなくて顔を顰めた。いつの間にか泣き止んだトム・サリファンが、鼻をすすってそのやりとりを静かに見守っている。