それを聞いたサードは、「ふうん?」と僅かに首を傾けた。

「それで、なんで俺は助かってんだ?」
「あなたは、相変わらず全く理解していませんね。まずは色々と突っ込んで訊くのが普通の反応かと思いますが――まぁいいでしょう。先にその質問に答えますと、あなたが助かったのは、魔術的に『主従契約』を行ったからです」

 何やら、話の風向きが怪しくなってきた。

 意識が途切れる直前の事を思い返し、サードはなんだか嫌な予感を覚えた。

「…………おい、スミラギ? まさかとは思うけど、あの言葉ってもしかして……」
「あの言葉は、魔術に必要なものでした」
「なんて事すんだよ!? よく分かんねぇけど、あの場にいたメンバーを思うと嫌な予感しかしないッ」

 サードは叫んだ拍子に身体を起こしてしまい、途端に貫くような痛みが身体に走って「ぐぉぉぉ」と呻いてベッドに頭を落とした。

「あなたは馬鹿ですか? 大人しく話を聞くという事を学習なさい。超治癒再生の精度が落ちていますから、斬られた内臓の傷が戻ってしまっている状況なのですよ。全身の筋肉もずたずたの状態で、本来であれば全治一ヶ月の重症です」
「え、ただの筋肉痛じゃねぇの?」

 脱力しきった涙目でサードが問うと、スミラギがすぅっと目を細めた。

「残念ながら違います、あなたの頭は単細胞ですか? 表面上の傷は持ち前の治癒能力でまかなえているようですが、内側は時間がかかります。『主従契約』による魔力供給がまだ安定していませんから、あと数日は不自由するかと思います」