最期を見届けるつもりなのだろう。

 そんな事しなくていいよ、と喉元まで言葉が込み上げた。いつもみたいに、こちらの事なんて考えず、何も知らずに、どこかで勝手に楽しく過ごしていればいい。

 一人にしてくれと、もう一度頼んでみようか。死ぬ時は、独りでいいのだ、と。

 そう思って腕を持ち上げようとしたサードは、身体にあまり力が入らない事に気付いた。身体の中がやけに静かだ。地下施設で、悪魔細胞を八十パーセント活性化した直後が、こんな感じであったと思い出す。

 望む未来はない。叶えたいと思っていた目的は成し遂げた。出来る事なら、生きている事を強く実感させられるような、あの強烈な痛みをもう一度手に入れて、その中で死んでいきたいと思うのは、贅沢な望みだろうか。

 もうあと少しもしないうちに、自分は死ぬのか、とサードは静かに思った。