ロイがこちらに背を向けて、そばにドカリと腰を下ろした。レオンに目配せされたソーマが、心配そうにサードを見やってから「……外の人に知らせてきます」と言って、破壊されて扉も見当たらない屋上出入口から階下へと向かった。

 唯一の一年生であるソーマが、屋上から一旦離れた。けれど他のメンバーが動く様子はなく、エミルとユーリスも座りこんだままであるし、レオンも立ってそこにいるままだ。

 そういや、俺の話なんて聞く奴らじゃなかったな。

 もう勝手にしろ、と、サードは腹に手を当てたまま目を閉じた。ようやく何もかも終わってくれたのだと、遅れて実感と達成感が込み上げた吐息をこぼした。

 地上に出てから、そこにある『暮らし』と『常識』を覚えるのに苦労した。学園に入学してからは、慣れない環境もあって、苦労させられてばかりだった。そして悪魔退治では、『次期皇帝』と聖騎士の子孫たちのせいでスムーズにいかなかった。

 腹部の表面上の傷が閉じたのを感じた、サードは押さえていた手から力を抜いた。学園生活も、なんだか働いてばかりで苦労の連続だったな、と思う。