どちらであったとしても構わない。
 予定通り任務が遂行出来て、サードはホッとしていた。

 ここに至るまでを思い返すと、苦労ばかりかけさせられた日々だったと思う。今回の戦いでも、自分を疲れさせたロイ達の存在には、つい顔を顰めてしまう。

「お前らのせいで無駄に疲れた」
「おや。私達のせいだというのですか?」

 聞き捨てならないと言わんばかりに、レオンの声が上がるのが聞こえた。サードは視界いっぱいに空を見つめたまま「だってさ」と言葉を続けた。

「お前らがいなかったら、校舎を遠慮なく壊して、悪魔を早々に殺してやれた」
「それはまた物騒ですね」
「風紀委員長とは思えない台詞だな」

 そう言うロイの声がして、剣を鞘に仕舞う音が聞こえてきた。

 答えないまま空を眺めていると、レオンがそばに立ってこちらを見下ろしてきた。彼は秀麗な眉一つ動かさず、相変わらず冷めた眼差しをしていた。

「あなたのせいで、校舎がほぼ半壊状態です」
「会長補佐も暴れていただろうが」

 ピキリ、と青筋を立ててサードは言い返した。一階と二階部分については、エミルが爆弾を必要以上に多く使用したせいで破損したのである。