こうして全員での闘いが始まってから、どれくらいの時間が経過しているのかは分からない。ただ、自分の呼気もやや上がり始めているので、魔獣と対峙した時の数倍の時間が経過しているとは察せる。

 サードは、額に浮かんだ汗を拭った。ずっとほぼ全力状態で、ロイ達がここまでついて来られた事に関しては、人間にしては強いなと褒めてやってもいいような気がする――が、やはり邪魔である。

 多分、奴らがいなかったら、とっくに決着は付けられていたのではないだろうか。戦闘敷地内に人間がいるなんて、計画にはなかった大誤算である。

 数々の邪魔な場面を思い返したサードは、悪魔と闘うロイとエミルの動きを改めて目で追った。彼らのそばにはユーリスが待機していて、隙を作るべくタイミングをみて魔法攻撃とナイフを放っているのが見えた。

 ずっと、このままのやり方では埒(らち)があかない。彼らの事を考えると、これ以上の長時間に及ぶ戦いには持って行きたくなかった。