先程、悪魔の攻撃を防いだ際、レオンは背中から壁に衝突していた。制服のジャケットには薄らと血が滲んでいたが、擦り傷程度で大きな損傷はないらしい。そう分かって、サードはひとまずこっそり安堵の息をついてしまう。

 レオン達は生身の人間ではあるものの、さすがは聖騎士の一族というべきか、その身体能力はかなり高かった。戦う中で悪魔のスピードにも追いつき始めており、エミルに関しては、百キロ近い瓦礫を持ち上げるほどの怪力も備わっている。

 常人よりも丈夫で力もあるおかげもあって、今のところ重症者と死亡者は出ていない。……全員が少なからず擦り傷や打撲といった軽傷を負っているので、安心は出来ないのだが。

 サードは、「はぁ」と溜息をこぼして、天井に空いた穴からレオンと共に屋上へ飛び出した。そこには、ロイ達から一斉攻撃を受けている悪魔がいて、不意に、カチリと目が合った。

「お前、すごく頑丈だねぇ。とても面白いよ」

 言いながら、悪魔が赤い目を細めて笑った。聖剣により焼き切れた頬の傷が、ゆっくりと閉じていくのが見えた。