悪魔の傷は瞬時に超治癒再生を始めてしまったが、全く隙がない訳ではないようだという手応えは感じた。もっと徹底的に叩く事に集中できれば、殺せる確率もぐっと高くなるだろう。

 次は、四肢を切り落としてやる。

 そうサードが殺気をまとい始めた直後、目の前から悪魔が忽然と消えた。目標物を見失って拍子抜けし、一体なんだろうと視線を移動してすぐ、エミルが放った爆弾が眼前に迫っているのが見えた。

「へ?」

 思わず、間の抜けた声が出た。目の前の戦いから、悪魔があっさりと離脱した理由に気付いて、サードは顔が引き攣った。

 そういや、こいつらは協調性もない連中だった。

 そう思い出して、コンマ数秒遅れで脱出すべく動き出した。その直後、凄まじい爆音と爆風が起こって身体が数メートル吹き飛び、空中でどうにか体勢を立て直して着地する。

 その脇を、バタバタとエミルが走り抜けて「僕にまっかせてー!」と言いながら悪魔に向かった。続いてロイ、そしてレオン達が何事もなかったかのように脇を通過していく。

 こいつらと力を合わせて戦うなんて、絶対無理だ。コンビネーション最悪だし協調性はないし、いきなり爆弾を放ってくるとかそもそもある?

 サードは、自分が悪魔だけに集中できない状況に「ぐぅ、あいつら……!」と頭を抱えた。全員、保健室に引っ込んでいてくれないかなマジで、と思いながら走り出した。