「サード君ッ、もう少しで巻き添え食らうところだったよ!?」
「君は馬鹿なのですか? こちらに悪魔を飛ばしてくるとは、阿呆なのでは?」
「うるせぇなぁ、ちゃんと間を狙っただろ」

 サードは体勢を整え直しながら、なぜ怒られるのだろうかと眉を顰めた。

 悪魔の背後に回った際に見えていたのは、切り落とした右手が既に再生を始めていた事だった。どうやら半悪魔体とは違い、数秒もせず腕が生えかわるほどの超治癒再生能力があるらしい。だから、すぐに吹き飛ばしたのだ。

 そうしなかったら今頃、再生が完了した方の手で攻撃を仕掛けられていただろう。攻撃の瞬間も眼球に動きがなく、次の攻撃に切り替える際にも、悪魔は呼吸音や心音の違いも微塵になかった。

 かなり行動が読み辛い相手である。尚且つ、これまで対峙してきたどのターゲットよりも、かなりの馬鹿力のうえ速い。そう考えながら、サードは一応、超治癒再生については教えてやった。

「あの腕、蹴り飛ばした時にはもう再生が始まってた。お前ら、そんな相手でも殺(や)れるってのか?」