「――『悪魔の血の丸薬』は切らさないようにしなさい」
彼らが剣から指を離し、ピリピリとした空気が解けた後、理事長が淡々とそう言った。
大事な栄養源の一つであり、薬にもなっている存在だ。サードはそれを考えながら、「分かっています」と答えて理事長室を後にした。
◇◇◇
五時間に一回、サードは『悪魔の血の丸薬』と呼ばれる黒いボール状の薬を飲まなければならなかった。
回収された悪魔の血を元に製造されたこの丸薬は、悪魔の血を求める身体の、悪魔を喰らいたいという乾きを抑えてくれる。それと同時に、体内に半分存在している悪魔細胞にとって食事と同じエネルギー源としても役に立っていた。
人間の身体に中途半端に流れる悪魔の細胞成分は、人体の細胞を破壊していく毒だった。悪魔細胞は、超治癒再生という突出した能力を持っているのだが、半悪魔体は基盤が人間の身体であるため、次第に器が劣化し、超治癒再生のサイクルが間に合わなくなるのだ。
そのため、ひどい乾きは誤魔化せても、体内の崩壊は止められないという悪循環に陥る。『悪魔の血の丸薬』を摂取することで、悪魔細胞が稼働力を上げて超治癒再生しようが、人間の内臓は誤魔化せないほどぼろぼろになる。
それが、サードが抱えている『身体のガタの問題』だった。
彼らが剣から指を離し、ピリピリとした空気が解けた後、理事長が淡々とそう言った。
大事な栄養源の一つであり、薬にもなっている存在だ。サードはそれを考えながら、「分かっています」と答えて理事長室を後にした。
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五時間に一回、サードは『悪魔の血の丸薬』と呼ばれる黒いボール状の薬を飲まなければならなかった。
回収された悪魔の血を元に製造されたこの丸薬は、悪魔の血を求める身体の、悪魔を喰らいたいという乾きを抑えてくれる。それと同時に、体内に半分存在している悪魔細胞にとって食事と同じエネルギー源としても役に立っていた。
人間の身体に中途半端に流れる悪魔の細胞成分は、人体の細胞を破壊していく毒だった。悪魔細胞は、超治癒再生という突出した能力を持っているのだが、半悪魔体は基盤が人間の身体であるため、次第に器が劣化し、超治癒再生のサイクルが間に合わなくなるのだ。
そのため、ひどい乾きは誤魔化せても、体内の崩壊は止められないという悪循環に陥る。『悪魔の血の丸薬』を摂取することで、悪魔細胞が稼働力を上げて超治癒再生しようが、人間の内臓は誤魔化せないほどぼろぼろになる。
それが、サードが抱えている『身体のガタの問題』だった。