「何故、そうだと分かる?」
「半悪魔体としての本能的な直感、みたいなもんかな」

 サードは、向こうの魔獣を目に留めたまま囁き返した。悪魔と巨大な『死食い犬』を慎重に観察していたエミルとソーマが、そこでようやくユーリスやレオンのように横目でサードを見やる。

「魔力が肉体を活性化し続けて、常に生きた細胞が作られているから身体が腐っていない、と考えれば辻褄も合うだろ? その場合は俺と同じで、戦闘モードに入れば腕力とスピードも数十倍は軽くはね上がると思う。治癒再生のスピードによっては、確実に狙わないと殺せない可能性もある」

 もし本当にそうであれば、先程の身体が脆いという欠点を持った『死食い犬』とは、全く別種と言ってもいいのかもしれない。

 ユーリス達だけで相手にするとなると、無事に済むとも言い切れないだろう。肉体が人体の限界を超えている今のサードであれば、あの五匹の『死食い犬』に戦闘技術では負けない。