馬よりも大きな五頭の『死食い犬』を連れた悪魔は、首から下が黒光りする毛に覆われていた。黒い身体は、人間の男性体に近いが、引き締まった肉体の下半身には性別を示すようなものは見られない。
首の途中から上は、日差しを知らないような白い肌をしていた。背骨のラインから続く尻あたりから、細く硬そうな黒い尻尾が生えていて、生きていることを示すかのようにして動いている。
目と同じく真っ赤な髪は、後ろへと撫でつけられて尖った耳と肩辺りで外側に跳ねている。大きく弧を描く唇は、紅を塗ったかのように艶やかに赤く、見開かれた赤い目は狂気と殺気に染まって飢えた肉食獣のようにだった。
「久しぶりだねぇ、我が餌共」
薄く開いた悪魔の口から、耳にするりと入り込む美しい男の声がした。そう言うなり、宙で立ち止まった『死食い犬』の上で、人形のようにコテリと首を傾げる。
「憎らしい再会は二十三回を超えるけれど、相変わらず餌の違いを見分けるのは難しいなぁ。どれが『皇帝』なんだろうか」
首の途中から上は、日差しを知らないような白い肌をしていた。背骨のラインから続く尻あたりから、細く硬そうな黒い尻尾が生えていて、生きていることを示すかのようにして動いている。
目と同じく真っ赤な髪は、後ろへと撫でつけられて尖った耳と肩辺りで外側に跳ねている。大きく弧を描く唇は、紅を塗ったかのように艶やかに赤く、見開かれた赤い目は狂気と殺気に染まって飢えた肉食獣のようにだった。
「久しぶりだねぇ、我が餌共」
薄く開いた悪魔の口から、耳にするりと入り込む美しい男の声がした。そう言うなり、宙で立ち止まった『死食い犬』の上で、人形のようにコテリと首を傾げる。
「憎らしい再会は二十三回を超えるけれど、相変わらず餌の違いを見分けるのは難しいなぁ。どれが『皇帝』なんだろうか」