話を途中で遮られてしまい、サードは大きく肩を落とした。レオンが馬鹿を見るみたいな顰め面を向けてきて「諦めの悪い人ですね」と言ってきたので、目も向けずに「うるせぇ」と文句を答え返した。

 彼らを戦いに参加させない方法はないものだろうか。そう思いながら、心底残念そうに溜息を吐いて渋々『皇帝の首飾り』をロイに返した。

 すると、何かに気付いたように、ロイがそっと秀麗な眉を寄せた。

「お前、自分の剣はないのか」
「基本的に肉弾戦だから、支給されてねぇけど?」
「剣術もAの成績だっただろう。慣れている武器があれば貸してやるぞ」
「いらねぇよ。一通り武器は扱えるけど、今は肉体の性能が全部上がってるから、力加減を慣らさないと武器の方が砕けるぜ。前にトム・サリファンの剣をぶっ壊して、すげぇしつこく追い駆け回された」

 トム・サリファンの屋敷には、いくつかの剣が飾られていた。その一本の持ち手を握り潰してしまった事があり、その際に「もし家宝にしている剣だったらどうする」「武器は使い手にとって相棒なんだから簡単に壊すんじゃないッ」と、物を大事にしろと説教されたのだ。