「なぁ、会計。つまりお前の考えだと、もっと大きい『死食い犬』がいても、おかしくないって事なのか?」
「過去の記録によれば、『死食い犬』は馬よりも大きかったらしい」

 言いながら、ユーリスはサードへ視線を返す。

「これまで倒したのは、せいぜいそれよりも一回りは小さいくらいのサイズだ。魔獣百科に記載されてる特徴と違って、あの『死食い犬』たちの統率が一部とれていたように見えたのも気になるんだよね……レオン君は、何か思うところはあった?」

 ユーリスが、やや後方を走るレオンへ目を向けた。

 意見を求められたレオンが「そうですね……」と思案げに言い、秀麗な眉を寄せて、しばし真剣に考えるようにして沈黙した。

 サード達は、エミルがいると思われる運動場へ向けて走っていた。そんな中、『死食い犬』についてユーリスに意見を求められたレオンが、思案を終えて口を開いてこう言った。

「魔獣同士で連携を取り、場所に応じて動きが違っていたようにも思えます。僅かながらに知能はあるのかもしれません。……まぁ、変則的な動きで捉えにくい『魔獣(ばか)』には手を焼きましたが、こちらにも変則的に動き回る風紀委員長(ばか)がいましたからね」
「おい、今、バカっつったか? 風紀委員長と書いてバカって呼んだのか? あ?」