大広間を縦横無尽に動き回っていた魔獣たちが、増えた獲物に目をぎらつかせてより動きを増した。目を走らせたレオンが剣を構えて、ユーリスの方へ跳躍しようとしていた『死食い犬』の足を切断する。

「ありがと、レオン。一度に多数で飛びかかれると厄介ってだけだろうからね」

 時間の余裕を作ってもらえたユーリスが、その直後に呪文を唱えながら武器を回し、魔獣の群れに向かって炎の魔法攻撃を放った。獣たちがその熱に怯んだ隙にソーマが飛び掛かり、『死食い犬』の脳天から剣を突き刺した。

 三人のコンビネーションは、息がぴったりだった。今のところ、こちらの手助けは不要らしい。

 サードは魔獣よりも速く移動すると、自身の爪と強化された腕力で『死食い犬』の身体を引きちぎった。ソーマの死角を狙って跳躍した『死食い犬』の足を空中で掴むと、その巨体を床へと叩きつけて、トドメに踵を落として頭部を潰す。

「サリファン先輩ッ、だ、だだ大丈夫なの!?」

 遅れて気付いたソーマが、びっくりして尋ねる。