どれくらいの数の『死食い犬』が、学園に降り立っているのか予想はつかない。三人で校舎内を移動しながら、餌の匂いを嗅ぎつけたように次から次へと飛び出してくる魔獣を倒し続けていた。

 気付けば辺りは、赤黒い血と腐った魔獣の死体で埋め尽くされていた。

 サードは、まずは残りの生徒会メンバーの状況を確認すべく先を急いだ。ユーリスとレオンが相変わらずぴったりとついてきたが、ひとまず思考を目先の戦闘に集中させて邪魔な魔獣を処分していく。

 別棟と授業棟の中間地点にある一階中央の大広間に出ると、既に魔獣の死骸が多く転がっていた。そこには、まだ動いている十数体の『死食い犬』がいて、一人の獲物に向かって集団で攻撃を掛けているところだった。

 それは一学年の生徒会書記ソーマだった。食欲への貪欲さが状況に応じた『死食い犬』の動きを良くしているのか、魔獣たちは広い空間を利用し、スピードを活かしたコンビネーションで攻撃を繰り出しながら巧妙に聖剣を避けていた。