「でも、調べても出なかったのは事実だよ。ロイ君が直々に、聖軍事機関に推薦書を送ったら、これまでと違う『待機』の対応をされて、余計に怪しさ満点だった」
「推薦!? チクショーあれってお前らが原因かよ! というか、なんでそう勝手な事をッ――」
「まぁまぁ落ち着いて、サード君。どうして俺が疑いを確信に持ったかについて話を戻すと、俺が仔猫の姿になって会いに行った時、君が飲んでいた薬のケースに、人体実験なんかやらかしているらしい秘密結社のマークを見て、それで大凡(おおよそ)把握しちゃったんだよね」

 呑気に言うユーリスに、サードは、小さな警戒心を覚えて口に出掛けた言葉を呑みこんだ。

 気のせいだろうか。なんだか上手く話しにつられて、色々と妙なことまで口走った気がする。思い返すと、こうして話すよりも先に、彼らがどこまで事実を知っているのか、を確認するべきだったのではないだろうか?

 サードは、校舎内に感じる魔獣の足音がだいぶ減ったことを思いながら、じろりとユーリスを睨み据えた。