「雪なんて、その少し前に『初めて見て知った』んだよ。なんか冷たいし、飛び込んだら全身ずぶ濡れになった。リューが校庭で騒ぐ奴らを見て『雪だるま』って言うから、気になったんだ」
「そういうところが、俺の感じた違和感の正体なんだよ、サード君。接触してみると、話すほどに荒が出始めるからびっくりしたよ。サード君はそれに目敏く気付いて、いつも口を閉じてしまった」

 目敏いのはどっちだよ、とサードは苦々しく愚痴った。レオンの視線に気付いて、もしや馬鹿にされるのかと見越して身構えて先に睨み返してら、奴は冷たい美貌にそれらしい感情も浮かべてこなかった。

 妙に大人しいな。馬鹿にされると思っていたんだが……変なやつだな。そう思ってサードがレオンを見ている中、ユーリスの話は続いた。

「もしかしたらと思って観察していたら、サード君は案の定、必要な経験も知識にも欠けているみたいだった。ロイが虐待の件を疑って、念のためにサリファン子爵について調べてみたら、なんと国家機密扱いになっていたんだよね」