「中庭?」
サードは記憶を辿ったが、思い当たる節が多すぎて絞り込めなかった。中庭にいた警備員も、国から派遣された戦闘魔術師で、よく質問をしていたからだ。
あの頃は、学園で『普通』に溶け込むための知識が、圧倒的に足りない自覚があった。スミラギからも忠告をもらっていたので、疑問に行きついたら、とにかく近くにいる関係者を掴まえては情報を補う、という方法を取っていたのである。
その表情から見て取ったのか、ユーリスが困ったような苦笑を浮かべた。
「サード君が声を掛けたその警備の人も、最近入れ替わっていた人だった。何か関係があるのかなと思って見ていたら、サード君は『雪だるまってなんだ?』って訊いたんだよ。それで、俺はおかしいぞと確信したわけ。この国は全地域で雪が降るのに、保護されて育てられた子供が『雪だるま』を知らないなんて、と」
全地域で雪が降るなんて、そんなこと知らなかった。
サードは、眉を寄せると「……悪かったな」と白状するようにして唇を尖らせた。
サードは記憶を辿ったが、思い当たる節が多すぎて絞り込めなかった。中庭にいた警備員も、国から派遣された戦闘魔術師で、よく質問をしていたからだ。
あの頃は、学園で『普通』に溶け込むための知識が、圧倒的に足りない自覚があった。スミラギからも忠告をもらっていたので、疑問に行きついたら、とにかく近くにいる関係者を掴まえては情報を補う、という方法を取っていたのである。
その表情から見て取ったのか、ユーリスが困ったような苦笑を浮かべた。
「サード君が声を掛けたその警備の人も、最近入れ替わっていた人だった。何か関係があるのかなと思って見ていたら、サード君は『雪だるまってなんだ?』って訊いたんだよ。それで、俺はおかしいぞと確信したわけ。この国は全地域で雪が降るのに、保護されて育てられた子供が『雪だるま』を知らないなんて、と」
全地域で雪が降るなんて、そんなこと知らなかった。
サードは、眉を寄せると「……悪かったな」と白状するようにして唇を尖らせた。