獲物が一人でなく、しかも校舎内に散っている状態であれば、『死食い犬』が数を散らしてそれぞれの方へ向かうのも当然だ。
その可能性にすぐ思い至らなかったことについても、サードは自己嫌悪のような苛立ちを覚えた。この計画は、『彼らが殺されてしまう状況を回避するため』にあるようなもので、だからこそ自分はここにいるのに――
それを知っていて、なぜ理事長は彼らに味方したんだ。
サードが苛々して考える中、ユーリスは勝手に話し続けた。
「学園が変り始めた頃を遡ってみると、異例の特待生がいて、入学初日に風紀委員長に任命される出来事に行きあたった。そこで俺は、その『きっかけ』から考えてみる事にしたんだ。ちょっと観察してみると、サード君の近くには、必ず例の騎士か魔術師の誰かが張り込んで、まるで警戒して見張るような殺気を向けていた」
そもそもね、とユーリスは自身を抱きしめるように腕を引き寄せて、わざとらしいくらい呑気そうに首を傾げる。
その可能性にすぐ思い至らなかったことについても、サードは自己嫌悪のような苛立ちを覚えた。この計画は、『彼らが殺されてしまう状況を回避するため』にあるようなもので、だからこそ自分はここにいるのに――
それを知っていて、なぜ理事長は彼らに味方したんだ。
サードが苛々して考える中、ユーリスは勝手に話し続けた。
「学園が変り始めた頃を遡ってみると、異例の特待生がいて、入学初日に風紀委員長に任命される出来事に行きあたった。そこで俺は、その『きっかけ』から考えてみる事にしたんだ。ちょっと観察してみると、サード君の近くには、必ず例の騎士か魔術師の誰かが張り込んで、まるで警戒して見張るような殺気を向けていた」
そもそもね、とユーリスは自身を抱きしめるように腕を引き寄せて、わざとらしいくらい呑気そうに首を傾げる。