「知らされたのはね、つい最近なんだ」
「さい、きん……」
「事前に理事長から計画を知らされて、協力を得ていなかったら、俺たちもここまでは動けなかったと思うよ。去年あたりから外に戦闘魔術師が混じり始めて、変だなぁとは思っていたんだけど、その時はまだ確証が何もなかったんだよねぇ」

 こちらの思考を見抜くようなタイミングで、ユーリスがそう言ってきた。

 計画を打ち明けて協力したのは、理事長自身の意思であるらしい。どうしてそうしたのか推測もつかなくて、サードはただただ押し黙っていた。

「俺たちの年に『月食の悪魔』の再来があるとはいえ、中級以上の強い魔剣を所持した騎士が、学園内の守衛になるなんてのも妙でしょ。どんなに隠そうが俺は人間の魔力を見破れるから、彼らに気付けたわけだけど」

 階下から、戦うような戦闘音と破壊音が響いてきた。学園内にはユーリスやレオンの他に、残りの聖騎士であるエミルとソーマ、それから『次期皇帝』であるロイもいるのだろう。