そして、あの可愛らしい生き物が偽物であったという事実が、とくに衝撃がデカすぎてショックが二倍だった。

「…………俺の、癒しだったのに」
「あはは、ごめんねぇ。変身魔法って色の特徴は残るし、金色の色素を持った猫はいないから、気付くかなぁと思っていたんだけど。サード君ったら、全く気付かないんだもん」
「『金色の猫がいない』とか教えてもらってねぇよ。チクショー、どうりで人間みたいな反応をするわけだ……」

 思い返せば、あの灰色の仔猫はソーマの髪の色と同じである。けれど、魔術に馴染みがないサードとしては、変身魔法を疑えと言われたって困るのだ。

 すると、ユーリスの隣で、レオンが絶対零度の視線を送ってきた。

「あなたは癒しの象徴を、平気でソファへぶん投げるのですか? どういう神経をしているのですか。おかげでひどく目が回って、すぐには動けませんでしたよ」
「お願いだから黙っていてくれないか、副会長。あの珍妙な形をした可愛いちんまりとした癒し系小動物が、お前だったなんて思いたくない」