それを聞いたサードは、思わず耳の調子を確認するように軽く叩いていた。こんなところでユーリスの声が聞こえるなんて、完全開放の副作用だろうかと首を捻る。
「ちょ、空耳じゃないから無視しないで?! 俺だよ、生徒会会計のユーリスだから!」
「おかしいな。魔獣騒ぎの中で、雑音っぽい幻聴が聞こえる」
「雑音扱いなの!? ひどすぎるよッ」
その声と同時に、ガラスのなくなった窓から一匹の鷹が入り込んできた。半悪魔体として殺戮衝動が研ぎ澄まされているサードの身体は、『視界の隅に入り込んだ生物』に向かって、無意識に手刀を振るっていた。
それはただの鷹であって『標的』ではない――そう遅れて気付いたが、「あ」という声を上げた時には、サードの手は窓枠に停まった鷹に迫っていた。
ああ、もう間に合わない。
殺したくないのにな、と、サードはどこか遠くで考えるように思った。
その時、鷹が「ぎゃあっ」と人間の声を上げて眩しい光を発した。咄嗟に目を瞑ったサードは、閉じた目の向こうで、振りきった手刀が固い何に触れて弾き返されるのを感じた。
「ちょ、空耳じゃないから無視しないで?! 俺だよ、生徒会会計のユーリスだから!」
「おかしいな。魔獣騒ぎの中で、雑音っぽい幻聴が聞こえる」
「雑音扱いなの!? ひどすぎるよッ」
その声と同時に、ガラスのなくなった窓から一匹の鷹が入り込んできた。半悪魔体として殺戮衝動が研ぎ澄まされているサードの身体は、『視界の隅に入り込んだ生物』に向かって、無意識に手刀を振るっていた。
それはただの鷹であって『標的』ではない――そう遅れて気付いたが、「あ」という声を上げた時には、サードの手は窓枠に停まった鷹に迫っていた。
ああ、もう間に合わない。
殺したくないのにな、と、サードはどこか遠くで考えるように思った。
その時、鷹が「ぎゃあっ」と人間の声を上げて眩しい光を発した。咄嗟に目を瞑ったサードは、閉じた目の向こうで、振りきった手刀が固い何に触れて弾き返されるのを感じた。