「時代は変わったのだよ、ユーリス・クラークス。進歩した最新科学と魔術の融合により、国は【悪魔を確実に殺すための『代理』】を用意した。だからお前たちは戦う必要がない。繰り返される悲劇は、ここで終焉を迎えてもらうのだから」

 その時、騎士たちが正門の内側にいたロイとユーリスを取り囲んだ。ロイが高圧的に睨みつけると、一人の騎士が丁寧な物腰で「『次代皇帝』様」と腰を折った。

「大変申し訳ございませんが、これは国王と『皇帝』のご意思にございます。どうぞ、その『皇帝の首飾り』を彼にお渡しくださいませ」
「俺はまだ何も応じていないぞ」
「素直に応じない場合は力づくでも、と『貴方様のお父上より直接』ご命令を受けております」

 ん? そういや、他の生徒会メンバーはどこだ?

 ロイと騎士のやりとりを見守っていたサードは、彼を崇拝しているレオンが出て来ないことを珍しく思って、正門の向こうを見やった。

 校舎の敷地外に溢れる生徒たちの中に埋もれるように、困惑した表情で見守っている他の生徒会役員たちの姿があった。そこにはレオンもいて、普段は強気で冷ややかな表情を浮かべている顔は、苦々しく歪められている。