「先に生徒を」

 理事長が、冷ややかにも取れる様子で一蹴した。すると、元々学園の守衛をしていた男が申し訳なさそうにこう告げて、その男を生徒たちの元へと促していった。

「これからきちんと理事長がお話しされますので、ひとまず自分のクラスの生徒たちのところへお戻りください」

 全ての教師たちが、渋々身を引いて待機した。

 やがて『次代皇帝』である生徒会長のロイが、ユーリスを引き連れて、最後の生徒の集団の最後尾に付いてやってきた。

 ユーリスが、魔術師と騎士の姿に気付き「何事だい?」と片眉を引き上げる。そのそばで、ロイは正門の内側にいる理事長の前に立つと、僅かな嫌悪を滲ませ「理事長」と切り出した。

「これは一体どういう事でしょうか。なぜ国王側の魔術師と騎士が、ここに?」
「今日、悪魔が百年振りに封印から目覚める。その計画のために、彼らは国王の命でここにいる」
「なるほど。しかし、俺は何も知らされていませんが?」
「その必要はないからだ、ロイ・D・ロックフェルム」

 静かに睨みつけるロイに、理事長は眉一つ動かさず高圧的に言葉を続ける。