なんと賢い生き物なのだろうか。仔猫が責任を持って誘導してくれるらしい、と解釈して感動した。

 二本脚でどこかふてぶてしく、ペッタンペッタン、と歩く奇妙で可愛い動物を、仔猫が呆れたように横目に見ていた。サードも、初めて見る小さく丸い珍妙な小動物を眺めつつ、仔猫たちの歩みに速度を合わせて裏口へと向かった。

「じゃあ俺は急ぐから、ちゃんと二匹で仲良く外に出るんだぞ」
「に、にゃーん……」

 仔猫がぎこちなく声で鳴いたそばで、珍妙生物がジロリとこちらを見上げて、小さく鼻を動かせた。

「チゥ」
「お前、もしかして鼠の変異体か何かなのか?」

 どこか苛立ちを隠せない様子の、可愛い奇妙な生物の鳴き声に疑問を覚えたが、サードは名残惜しくもその場を離れた。

 正門に並び立つ青葉をたっぷり茂らせた桜の木を目指し、気配を殺しつつ風を切るように走った。途中、向かう先からやってきた黄色い小鳥が、彼のそばを舞うように飛び去っていった。

 今日は、随分と小さい動物に遭遇する日だなぁ。

 サードはそう思いながら、飛んでいく子鳥の後ろ姿を目で追った。この島では初めて見るその黄色い小鳥は、本校舎へと向かって旋回し、数秒もしないうちに校舎の影に隠れて見えなくなった。