出来るだけ他の生徒に姿を見られないよう、正門近くまで移動する経路を思案しつつ、サードは腕の中の奇妙な小型生物を見下ろした。
「よし。ついでだから正門まで連れて行こう。それで万事解決だ」
「キュ?! キキュゥ、キュッ」
「こらこら、暴れるなって」
突然、腕の中の小動物が暴れ出した。サードは、全く手ごたえのないその生物の柔らかいパンチを手で受けとめると、抱え直してから小走りに廊下を駆け抜けた。
一階の回廊口あたりまで降りた時、回廊を渡った先にある非常口から、一学年生の生徒たちが外に出るため、列をなして進んでいるのが見えた。その中には、見知った顔の風紀部員の姿もあった。
こちらの姿が視認されないよう、サードは廊下の影へと身を潜めた。腕の中の可愛らしい生物が途端に静かになり、もしや潰してしまったのではないかと心配になり視線を落とすと、奇妙な長い耳がピクピクと反応しているのが見えた。
どうやら、この小さな珍妙で可愛らしい生物は、集団でいる人間にでも興味があるのだろうか。生徒たちのいる方角へ小さな鼻先を向けて、匂いを嗅ぐような仕草をしていて、そのたびに小さな髭が動いている。
「よし。ついでだから正門まで連れて行こう。それで万事解決だ」
「キュ?! キキュゥ、キュッ」
「こらこら、暴れるなって」
突然、腕の中の小動物が暴れ出した。サードは、全く手ごたえのないその生物の柔らかいパンチを手で受けとめると、抱え直してから小走りに廊下を駆け抜けた。
一階の回廊口あたりまで降りた時、回廊を渡った先にある非常口から、一学年生の生徒たちが外に出るため、列をなして進んでいるのが見えた。その中には、見知った顔の風紀部員の姿もあった。
こちらの姿が視認されないよう、サードは廊下の影へと身を潜めた。腕の中の可愛らしい生物が途端に静かになり、もしや潰してしまったのではないかと心配になり視線を落とすと、奇妙な長い耳がピクピクと反応しているのが見えた。
どうやら、この小さな珍妙で可愛らしい生物は、集団でいる人間にでも興味があるのだろうか。生徒たちのいる方角へ小さな鼻先を向けて、匂いを嗅ぐような仕草をしていて、そのたびに小さな髭が動いている。