洗面所に両手をついたタイミングで、口の中へと逆流してきた血液が、咳と共に吐き出された。発作の衝撃で別の臓器が潰れたのか、予想よりも長く焼けるような咳が続き、反射的に口許を押さえた右手が血に染まった。
やがて発作が治まったところで、サードは手と唇についた血液を洗い流した。少し体温の上がった吐息をこぼしながら、血が他にも付着していないか確認するために顔を上げる。
不意に、正面にあった鏡の中に、疲労感を滲ませる自分の顔が目に留まった。同じ表情をしていた最後の仲間のことが思い出されて、しばし、らしくなくじっと見つめてしまう。
最後の仲間が死んだのは、サードの地上行きが決定する直前だった。
彼は身体の寿命が尽きたことで血を吐き続け、四人の研究者がベッドに寝かせて介抱にあたっていた。
処分してくれた方が楽だろうに、と思いながらサードが見守っていると、少年がこちらを向いて、疲れ切った顔に穏やかな微笑みを浮かべた。
やがて発作が治まったところで、サードは手と唇についた血液を洗い流した。少し体温の上がった吐息をこぼしながら、血が他にも付着していないか確認するために顔を上げる。
不意に、正面にあった鏡の中に、疲労感を滲ませる自分の顔が目に留まった。同じ表情をしていた最後の仲間のことが思い出されて、しばし、らしくなくじっと見つめてしまう。
最後の仲間が死んだのは、サードの地上行きが決定する直前だった。
彼は身体の寿命が尽きたことで血を吐き続け、四人の研究者がベッドに寝かせて介抱にあたっていた。
処分してくれた方が楽だろうに、と思いながらサードが見守っていると、少年がこちらを向いて、疲れ切った顔に穏やかな微笑みを浮かべた。