風紀委員会室を出たサードは、『悪魔の血丸薬』を噛み砕きながら、一番近くのトイレへと向かった。
胃に溜まった血を吐き出すのであれば、後で服用した方が良かっただろうか、と遅れて気付かされた。しかし、もう飲んでしまったものは仕方ないと、楽観的に考え直して廊下を進む。
トイレの看板が前方に見え始めた時、白い廊下の中央に、ぷりぷりと苛立ったように歩く小さな生き物が目に留まり、思わず足を止めた。
「……なんだ、あれ」
その奇妙な生き物は、一見して柔らかいと分かるダーク・ブラウンの艶やかな毛に覆われていた。サイズは仔猫よりも小さく、小振りな頭から生える長い耳は、エミルがよく連れ歩いている人形に似ている。
まるで丸い毛の塊のようなその生き物は、丈の短く、底の長い足を持っていた。二本の足で器用に、ぺったんぺったん、と廊下の中央を歩いている。
時々、ソレは「ぷぴゅッ」と可愛らしい鼻息を上げた。苛立っているかのように、ぷりぷりしながら長い耳を上下に動かせていた。
胃に溜まった血を吐き出すのであれば、後で服用した方が良かっただろうか、と遅れて気付かされた。しかし、もう飲んでしまったものは仕方ないと、楽観的に考え直して廊下を進む。
トイレの看板が前方に見え始めた時、白い廊下の中央に、ぷりぷりと苛立ったように歩く小さな生き物が目に留まり、思わず足を止めた。
「……なんだ、あれ」
その奇妙な生き物は、一見して柔らかいと分かるダーク・ブラウンの艶やかな毛に覆われていた。サイズは仔猫よりも小さく、小振りな頭から生える長い耳は、エミルがよく連れ歩いている人形に似ている。
まるで丸い毛の塊のようなその生き物は、丈の短く、底の長い足を持っていた。二本の足で器用に、ぺったんぺったん、と廊下の中央を歩いている。
時々、ソレは「ぷぴゅッ」と可愛らしい鼻息を上げた。苛立っているかのように、ぷりぷりしながら長い耳を上下に動かせていた。