学園の生徒たちの中で、サードが風紀委員長であることに反対する者は多い。もし実績や人柄で選ばれた訳でもなく、自分のせいで人員不足などに陥っていると知ったら、リューたちはどんな反応をするだろうか?

 真実を話したら、きっと失望するだろうな。そうして、俺が相応しくないとも分かる。

 毎日が騒がしくて大変で、なんで入学からのスタートなんだと何度思ったか分からない。それでも、地下施設から出た日から振り返ると、夢のような、穏やかな日々でもあったと思うのだ。

 真実を知られたら、きっとリューたちには失望されてしまうだろう。けれど、ここにきてようやく、サードは一つのことに気付いた。


「俺、こうして風紀委員長をやれて、良かったよ」


 口から、すんなりと言葉がこぼれた。リューや、他の部員たちとも会えて良かった――そう思えた。

 リューがきょとんとした様子でこちらを見て、それから嬉しそうに笑った。

「俺も、初めは風紀副委員長なんて、そんな大それた肩書きに震えが止まらなかったんですけど、こうして委員長のお手伝いが一番出来る立場になれて、良かったと思ってます。毎日が忙しくて、楽しいです」