その時、「ふふっ」と嗤うリューの声が聞こえた。

「どんな人が委員長になったとしても、俺らは変わらないと思いますよ。だから、俺らはあなたがいいんです」

 サードは、数秒ほど唐突に言われた言葉の意味を考えてしまっていた。それから、ゆっくりとリューへと顔を向ける。

「…………俺が、風紀委員長である方がいいってことか? 見本にもならないって、よく言われるぜ?」
「そんなことを言う奴なんか、もう風紀には一人もいませんよ。俺らは他の誰でもない、あなたがいいんです。みんなで頑張りますんで、卒業するまでずっと、俺らの委員長でいてくださいよ」

 リューは満足げに言い切ると、机に置かれている紙の山へと目を移した。

 風紀委員会は、現在八人の三学年生、十三人の二学年生、七人の一学年生で構成されていた。三学年生の部員が少ないのは、去年サードが風紀委員長に就任したことで、多くの人数が退会してしまったせいである。

 今年の入部者が少ないのは、出来るだけサードに関わる人間が少なくなるよう、上から学園に圧力があったためだ。自分(サード)がいなければ、風紀委員会はこれまでにない人不足にあえぐこともなかっただろう。