思い返せば、風紀委員会は走り回ることが多いとはいえ、サードが就任した当初の部員たちは、どこか清廉された品も持ち合わせていた。

 言葉使いもそこまで悪くなければ、嫌なことに面しても眉根を寄せて唇を噛み、冷静で迅速に違反者を取り抑える姿勢が印象的だった。

 それが今では、堂々と生徒会に対する愚痴をこぼし、風紀を破る生徒がいれば「この野郎」「仕事増やしてんじゃねぇぞ」と飛びかかり、怪我の心配もせず乱闘に飛び込み、やられたらやり返す精神で喧嘩もする。

「なんか貴族学校って感じじゃなくなってきたよな……俺のせいなのか? もっとまともな奴が委員長になれば落ち着くかなぁ」
「貴族だって、公式の場じゃなければただの男ですよ」
「でもお前、喧嘩は騎士道に反するとか言ってたのに、今じゃ平気で飛び蹴りもするだろ」
「攻撃は最大の防御です」

 あ。それ、俺が教えたやつだった……。

 遅れて思い出し、サードは「やっぱり俺のせいか……」と頭を抱えた。風紀委員会として、学園側から指名されて権限を与えられているのだから、躊躇も怯む必要もないだろう自信を持て、と何度も彼らを説教してきたのだ。