そんなサードの様子を、三人の部員が珍しそうに見つめたが、次の授業の予鈴と同時に慌てたように部屋を出て行った。彼らと入れ違いでやってきたリューが「気合入ってるなぁ」と笑いながら見送り、後ろ手に扉を閉める。

「委員長、彼らから聞きました?」
「聞いた、非常時訓練が行われるらしいな。他に何か変わったことはあったか?」
「いいえ、特には何も。ああ、そういえば上がってくる時に、生徒会の副会長と会計を見かけましたよ。非常訓練で何も仕事を分担されていないくせに、外まで出るのが面倒だと愚痴っていたので、ぶっ飛ばしたくなりました」

 リューは、苛立ったように言って自分の席に腰かけた。彼は入学時から生徒会を嫌っており、「嫌味なイケメンは滅びろ」というのが口癖にもなっていた。

 出会った当初は、中流階級の貴族の次男として、それなりに言葉使いも落ち着いていたのにな、とサードは思わず苦笑を浮かべた。

「ぶっ飛ばすって……お前、すっかり荒れたなぁ」
「委員長の口癖みたいなものじゃないですか。それが移ったんです」