二時間目の授業終了の鐘が鳴ってしばらくすると、複数の気配と共に風紀委員会室の扉が開かれた。

 リューだろうかと思って顔を上げると、そこにいたのは、午前の見回りを分担されていた同学年の三人の部員たちだった。

「お前ら、どうした?」
「理事長から、急きょ非常時訓練の指示があったようなので、お伝えにきました」
「ふうん、唐突だな」

 サードは、知らぬ顔で答えながら手元の書類にサインを行った。それを処理済みの紙山へと移してから、再び部員たちへ目を戻して続ける。

「まぁ、二、三ヶ月に一回、不定期にやってくるから仕方ないな。手筈はいつも通り、同教室の生徒が遅れないよう確認して共に避難。対応にあたる教師のサポートに努め、非常時訓練が終わったら、全班で校舎内に異常がないかを確認する」

 悪魔との対決時を想定し、理事長は不定期に避難訓練を行っていた。当初は、共に避難するという行動に違和感を覚える風紀部員たちもいたようだが、今では訓練の流れにも慣れて、疑問の声を上げる者もいなくなっている。