「私も傍観者として楽しんではいましたが、それはさすがに――すぐに伝えられるか悩むところです」
「まぁ、俺の伝言なんて、どうせ激怒されるのは目に見えてるけどさ。最後にもう一回くらい怒らせてもいいだろ?」
「いえ、そういう問題ではないのです。彼はあれで、聖軍事機関の第一研究室長として務めている男ですからね、使い物にならなくなっても困りますので。……そうですね、伝えるタイミングについては、検討しておきましょう」
スミラギは思案するように視線を彷徨わせると、独り言のように呟いた。
サードは不思議に思いつつも、動かない彼の手をそっとどけて扉を開いた。廊下の外には、相変わらず人の姿はなかった。
「というか、あいつ『研究室長』なの? 全然それっぽくないな」
「仕事の関係で付き合いはありましたから、自分の席でふんぞり返っている姿が様になるくらいには優秀ですよ。その縁で、教育係の件を任されましたから」
「ふうん? それじゃ、またな、スミラギ」
サードは退出するべく後ろ手を振り、上手く進めてみせるから任せておけ、と肩越しに顔を向けて笑いかけた。
すると、スミラギが眉をつり上げた後、口角を僅かに上げるようなブリザード級の冷笑を浮かべた。サードが「うッ」と条件反射のように固まると、ようやくどこか満足げに見下ろして「それでは」と言って扉を閉めた。
一体どんな方法で斬首するつもりなのだろうか、と、サードは少しだけ不安になった。
「まぁ、俺の伝言なんて、どうせ激怒されるのは目に見えてるけどさ。最後にもう一回くらい怒らせてもいいだろ?」
「いえ、そういう問題ではないのです。彼はあれで、聖軍事機関の第一研究室長として務めている男ですからね、使い物にならなくなっても困りますので。……そうですね、伝えるタイミングについては、検討しておきましょう」
スミラギは思案するように視線を彷徨わせると、独り言のように呟いた。
サードは不思議に思いつつも、動かない彼の手をそっとどけて扉を開いた。廊下の外には、相変わらず人の姿はなかった。
「というか、あいつ『研究室長』なの? 全然それっぽくないな」
「仕事の関係で付き合いはありましたから、自分の席でふんぞり返っている姿が様になるくらいには優秀ですよ。その縁で、教育係の件を任されましたから」
「ふうん? それじゃ、またな、スミラギ」
サードは退出するべく後ろ手を振り、上手く進めてみせるから任せておけ、と肩越しに顔を向けて笑いかけた。
すると、スミラギが眉をつり上げた後、口角を僅かに上げるようなブリザード級の冷笑を浮かべた。サードが「うッ」と条件反射のように固まると、ようやくどこか満足げに見下ろして「それでは」と言って扉を閉めた。
一体どんな方法で斬首するつもりなのだろうか、と、サードは少しだけ不安になった。